とあるオークションで、カミタマンの放送台本を二冊落札した。
注目ポイントのひとつはタイトルで、両方本放送と異なる。7話は「ドキッ!パパの大変身」。20話は「末は博士かダメパパか」である。
中身は追々紹介したいが、ここでは7話の最終ページを。
お話は、くだらない用事のためにわざわざ変身させられた伸介がネモトマンをやめると言い出し、カミタマンがかわりのヒーローを募集。パパが勝手に「新ネモトマン」をやり出し、暴走を止めるのに四苦八苦した伸介が、結局は僕がネモトマンを続ける、と思い直す、というものだ。
それにしてもこの「くだらないもの」という言い回しや、決して画面に表れるはずのないラストの二行、「戦後の日本の教育が生んだひずみ」云々、の毒は、ただごとではない。
連続もののテレビ台本の仕事なんてのは、締め切りも短くて相当あわただしいと思われるので、脚本家(この二本はもちろん浦沢義雄)の仕事もやっつけで、その場の思いつきに過ぎないかもしれないが、画面に出るはずのない部分にも、こんなこと書いてるんだな、と知ると、作品のコンセプトに対する見方も変わってくる。
さすがにこれをまじめな社会批判と受け取りはしない。しかし実は、お笑いには社会悪や人の哀しみを洞察する、鋭い観察眼と感性が不可欠である。弱いものをさらに踏みにじるだけのような笑いに真の毒はなく、それは低劣だ。
そのような視点からも、この番組には十分なクオリティを、私は感じている。
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