横山と伸介は、野球のユニフォーム姿で根本家の食卓に。伸介はがつがつ飯を食っている。
横山「伸介君、早くしないと試合の時間に。俺、手伝おうか?」
といいながら横山は、伸介のおかずを取るわけでもなく、目前の一人前を伸介とともに平らげた。
伸介「ちょっと食い過ぎたかな……」
試合前というのに、ぼっこりおなかで出陣の二人。
カミタマン「ない! ないない! ないないないない! 無いよう、おらっちの朝ご飯が行方不明……」
ママ「ああほんとだ! 誰が食べちゃったんでしょう」
カミタマン「あとに残されたおらっちはどうやって生きていけばいいんだ!? おらあもう死んでしまうよう……」
ママ「これ食べて生きていけば?」
ママのさしだしたヨーグルトっぽい食べ物にがっつくカミタマンだったが、それはママの三ヶ月前のお料理だった。お腹がしぶってきたカミタマンは、家のトイレをパパにとられてしまい、公園の公衆便所に走る。だがそこも大行列。首が360度回ったカミタマンは、視界がぐらぐら。
そんな一大危機に、「だーれだ?」などと目隠しする何ものかが。それはタタリだった。
驚きのあまり、カミタマンは漏らしてしまった。紫色のおなら一発を。
タタリ「こらカミタマン。神様のくせに人前でおならなんかしやがって。今日こそお前におたたりするぞ」
タタリが念じると、巨大な入れ歯が出現。
入れ歯を構え、執拗にカミタマンを追い回すタタリ。マンホールから、ちり紙交換のトラック荷台から、姿を現す。
そこにボールが飛来し、タタリの脳天に命中した。それはマリのものだった。ボールを取りに来て、「ごめんね」と微笑んだマリを見るタタリに電撃が走る。タタリは恋に落ちてしまったのだ。(BGM:恋の予感)
根本家。伸介の部屋で挙動不審のパパ。伸介の貯金箱に手をつけ、パチンコのタネ銭を仕入れていたのだ。目撃したカミタマンに言い訳するパパ。そこに庭で騒ぎが。ママがタタリにせまられていたのだ。カミタマンが布団叩きで撃退。
カミタマンが伸介の部屋に戻ると、貯金箱はすっからかんだった。何も知らない伸介は試合から帰宅して汗びっしょりでかけつけ一杯の牛乳を飲んでいるところ。カミタマンはさてどう説明したものかともじもじ。
カミタマン「し、伸介、実は話が……」
伸介「カミタマン話なら一風呂浴びてからにしてくれよ」
ユニフォームを脱ぎ、鼻歌(涙のTake a chance)を歌いながら上機嫌で浴室に入る伸介。しかし突然雷鳴。浴槽からタタリが出現。驚いた伸介はバスタオルを放り出して逃亡。
カミタマンはホースで水をかけ、タタリを追い払った。
パパはパチンコ凱旋帰宅で、伸介の貯金箱にお金を戻すと、カミタマンにもおみやげがあると紙袋に手をつっこんだ。しかしどうも様子がおかしい。袋から出た手にはタタリの全身タイツがからみついており、そこからタタリが実体化した。
すっかり恋の病のタタリの話を、カミタマンは公園で聞くことに。
タタリ「一目惚れって言うのかなあ」
カミタマン「お前前にも会ったことあるだろ?」
タタリ「ん? じゃ二目惚れだ」
公園で暴れるタタリをみかね、仕方なくカミタマンはマリに「タタリの気持ち」を伝えるキューピッドとなるはめに。
しかしマリの返事は「かんべんしてよ」だった。
さすがにそのまま伝えるのは、ちょっとタタリがかわいそう。ためらうカミタマンの背後に忍び寄る黒服の女はとらばる聖子。
とらばる聖子はあやしいノボリをかかえ、「同情屋」をやっているという。
聖子「タヌキにも同情しちゃう! 同情しちゃう。うわぁぁぁーん」
突然大泣きを始めた聖子。
カミタマン「おいちょっと待てよ。ちょっと人が見たら……」
困ったカミタマンは強引に聖子の口を花壇の花でふさいだ。周囲の視線が痛い。聖子を残してその場を逃れる。
タタリの元に逃げてきたカミタマンは、走り回って腹が減ったと、タタリに鍋焼きうどんをおごらせた。さらにはケーキ。チョコレートパフェまでも。
タタリ「もしかして……もしかしてマリちゃんが僕のことを愛してる!」
カミタマン「エエッ!」
タタリ「やっぱりそうなんだ……」
カミタマン「オ、オイタタリあのな」
タタリ「カミタマン、その先は言うな。照れるじゃないか」
カミタマン「うわ、何だこの一方的な誤解は」
手がつけられないので、カミタマンはケツをまくって知らん顔を決め込むことに。
その気になってマリに結婚を申し込んだタタリだが、その脳天にマリの手に握られた花瓶の一撃。
マリ「全くもう。お庭が汚れちゃったじゃない」
冷酷な一言を残して家に戻ったマリ。
目を覚ましたタタリに、カミタマンはマリと間違えられチューされそうになる。あわてて逃れるカミタマン。
タタリ「あれ、マリちゃんは?」
カミタマン「怒ってうちの中入っちゃったよ」
タタリ「僕のプロポーズがそんなにうれしかったのかなあ」
カミタマン「お前な。うれしいやつが人の頭花瓶で殴るか?」
タタリ「そういう人がいても、いいじゃないか」
マリ「こらタタリまだいたの?」
タタリ「マリちゃん……! そんなに照れないで。僕を愛しているなら正直に愛しているって」
マリ「誰がそんなこと言ったの?」
タタリ「カミタマン」
突然振られたカミタマン。マリににらまれ、さらにタタリは入れ歯を出現させる。その前歯をむしったマリは、それをカミタマンに投げつけた。かろうじてそれをかわすカミタマン。前歯は跳ね返り、タタリの入れ歯の口の中へ。たまらずタタリは消滅した。
マリの怒りはおさまっておらず、カミタマンは伸介に助けを求める。伸介はなぜか昼間から寝つかれないとうなってベッドの上を転がっており、静かにしてくれとカミタマンを相手にしなかった。
カミタマン「よし、いますぐ寝かしてやる。カモンカカモカカミター!」
寝床で変身させられたネモトマンは、そのまま物干しから飛び出して行ってしまった。
カミタマン「ああ、バカ飛ばなくていいんだよ……」
マリから逃げまくるカミタマン。根本家の庭にて、その二人の間にネモトマンが降り立った。
マリ「またあんた? あんた一体どこの子?」
ネモトマン「神に代わって悪を切る。正義のスーパーヒーロー、爆発! ザ・ネモトマン」
マリ「……カミタマン。この子をどうにかしてくれれば助けてあげるわ」
カミタマン「わかった」
ネモトマン「ヘ!?」
カミタマン「お前眠いんだろ? だったら目をつぶれ」
素直に目を閉じたネモトマンに、カミタマンはほうきの一撃を。
マリ「カミタマン、その子どこかに捨ててきて」
カミタマン「はーい。……な、ぐっすり眠れただろ? 神様嘘つかない」
夕食の根本家。伸介は食卓に出てこなかった。部屋で頭にひょうのうをのせて、寝込んでいる。
伸介「僕もう、神様なんて信じない……」
一方タタリは、入れ歯の修理をしながらリベンジを誓っていた。
【コメント】
メインの筋は、既出のキャラがヒロインに恋するネタで、どちらかと言えばこのシリーズではネタ切れ時に多いもの。ペットントンでのオミッチャンとかネムリンのモンローでもあったような。
しかしこのエピソードについてはそのメインの筋に小ネタがうまく絡ませてあって、そこが妙味と言える。パパのパチンコネタとかカミタマンの朝ご飯食ってしまう横山とか、泣き屋風味のあやしい「同情屋」とらばる聖子など。どれも削っても別のネタに替えても展開にそう影響しない。たぶんメインの筋だけでは薄くてもたなかったので、いろいろくっつけていったのだろう。
カミタマンは既製曲をうまく使ってくるが、今回の伸介の鼻歌の「涙のTake a chance」は風見慎吾のヒット曲で、なかなか本格的なダンスもウリだったはず。あまり過去を明かしたがらないという浦沢義雄氏の経歴にダンサーというのがあったらしく、彼らしいチョイスと言えるかもしれない。脚本には曲目は書いていないが、東映ではメインライターは絶大な影響力を持っていたらしく、現場に来て「岩瀬君これ歌ってよ」くらいのやりとりはあったんじゃないかな。
あと、伸介が「寝つかれない」って寝床で転がってるときって、真っ昼間なんだよね(笑) 普通に観てると流れちゃうけど。ま、伸介も変わった子だから。あるいはあとの展開のためのご都合主義でこうしたのかな、と思うけど何か変。まさに不思議コメディ。
こういう何を狙ったかよくわからない謎の展開やセリフが、この番組にはちょくちょくみられて、脚本家の脳内ではごく自然に理屈がついてるのかな、とか思ってしまう。
2008.4.21 動画を追加
どうもストレートにやると横幅が画像も映像も少し広くなるようで、圧縮エンコード時0.9をかけたアスペクトにしている。キャプチャー時の設定がまずいのかなあ。
あと、この動画はDivXで圧縮リサイズしてるんで、お持ちでない方はコーデックを入れて下さい。
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ちん…
2008/11/16(Sun)17:32
No.1|by shota|
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